自動固相抽出装置SPE-100

京都大学化学研究所様

京都府宇治市にあります、京都大学化学研究所の宗林由樹教授の研究室にお邪魔しました。

海水の微量元素濃度を調べるための前処理工程として自動固相抽出装置SPE-100が活躍しています。


【HEPA空気清浄機を使ったクリーンブースの中に
3台コンパクトに収まっています】

どのような研究に利用されているのでしょうか?

海水中の微量元素を使って海のいろいろな過程などを調べたいと思っています。その微量元素は「バイオアクティブトレースメタル」といいまして、生物にとって適当な量があると栄養になり、あまり多すぎると毒になるような元素です。具体的には「アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、鉛」の9元素のことですが、それらをいっぺんに測るのは、なかなか難しかったのです。海水にはいろいろな成分が溶けていて、その主要成分が定量を妨害するので前濃縮、前処理で目的成分だけを抽出しないといけないのですが、ノビアス(※編注 日立固相充填カラム)を使うと上手くできることがわかりました。

始めは手動で行っていたのですが、コンタミネーションを抑えるのが問題となってきました。海水中の微量元素は濃度が低いので、普通の実験室のオープンな環境でそのままカラムを使ったのではコンタミしてダメなのです。そこで、全体をPFAチューブなどで閉鎖系のラインにしたところ上手くいきまして、2008年に論文を出しました。

海水サンプル約100ccとか200ccを8倍くらいに濃縮するのですが、1つのサンプルを処理するのに、その作業が3時間くらいかかるんですね。世界の約50ヶ所の測点で、それぞれの深さで採ってきて800弱くらいのサンプルを処理したんですけど、ほとんど手作業でやって大変でした。方法ができたのが2008年。その頃から5年間かけて、やっとここまできました。本当はもっとたくさんのサンプルを測定したいのですけど。


【今までの測点をパソコン画面でご説明いただきました】

自動固相抽出装置SPE-100を使ってみて、
いかがでしょうか?

とても効率的になりました。手作業のときは基本的につきっきりになりますので。

作業としては、はじめにカラムにバッファーを流してコンディショニングしてサンプルを流して、またバッファーを流して余分な塩類を除いて、硝酸で溶離して、さらに硝酸を流してカラムを洗って、水で硝酸を抜いて、バッファーを流して pH を整えて一連の操作が終わるのですが、溶液を替えるのに自分で三方コックを手でひねらなければならないわけです。
SPE-100 だったらスタート後は放っておけます。多分、一連のステップも装置の方が早いと思います。

それと、手順が複雑なこともあって、新しく来た学生さんがそれを使えるようになって、きちんとしたデータが出せるようになるまで、すごく時間がかかっていたんですよ。半年とか 1 年とか。
装置は簡単だからもっと早くできる、修得が早くなるというのがメリットだと思いますね。
コンタミネーションの問題も手動の濃縮系でやるより、もっと抑えやすいと思います。


【手動で行うのはカラムが外れたりして大変】

ところで他の装置もご検討されたのでしょうか?

ノビアスを使っていた関係で、 SPE-100 のデモ機を使わせていただいていたので、特に考えませんでした。
以前から微量元素の濃縮ができますと謳っている装置はあったのですが、外洋水の微量なものができるというものはなかったと思いますね。
そういう意味ではたぶんこれが最初のものではないでしょうか。

ちなみに最近、海外にも海水用でメタルフリーの前処理装置があることがわかったのですが、 4 万ドルだそうです。
SPE-100 は 4 万ドルのものと機能的には同じことができます。 (編注: SPE-100 の定価は 78 万円(税別))

カラムを逆から溶出するように改造されましたが、それはなぜでしょうか?

カラムに入ってきたときにほとんどの微量元素が入り口のところで捕まっていると思います。
安定性が高いし速度も速いので。だからサンプルと同じ方向に溶離液を流すとたくさん流さないといけないのです。
たくさん流すということは時間がかかります。また酸の濃度を高くしなければいけないので、そうするとブランクが上がるんですね。
酸の中にはどうしても金属が含まれていますから。
酸の濃度をできるだけ低く、溶出液の量をできるだけ少なくしようと思ったら、逆向きに流す方が効果的だと考えています。

お値段的にはいかがでしたか?

たいへんリーズナブルと思いましたよ。今のところ競合するのは海外の4万ドルのものだけですから。

装置の大きさやスペース的にはいかがですか?

SPE-100 を 3 台クリーンブースに入れても、手動の濃縮系を組んでいたときとほぼ変わらないので、場所をとらず良いと思います。


最後になりますが、今の研究からどのようなことがわかっていくのでしょうか?

微量元素を外洋水で測ることはなかなか難しかったのでグローバルなデータは今までなかったのです。
そのデータを集めて、世界の海で微量元素がどんなふうに循環しているかを明らかにしようとしています。
また元素の循環が生物とどんな関係があるのかというのを考える上でも大いに役に立つと思います。

たとえば、地球ができてから今までのことを考えると、海の中の元素の濃度って主要成分はあまり変わっていないのですが、微量元素は濃度が変わったらしいのです。
最初は酸素がなかったから今と全然違うのですけど、そのうち酸素が増えてきて、酸素がないような環境の元素から、酸素がある環境の元素に変わってきました。
鉄はすべての生物に必須ですが、昔はたくさん海水の中に溶けていたので、簡単に吸収できました。
でも今はとても濃度が低いので、鉄をうまく獲得できるかどうかが進化の上で生き残る重要なポイントになります。
窒素やリンが足りていても、鉄が足りなくて植物プランクトンが増えられない海があるのです。
ベーリング海は世界でも生物がたくさんいる海なのですが、川とか大陸から鉄や微量元素が豊富に供給されているので生物がたくさん増えられるとか、そういうことがわかってくるのです。

人間の活動の影響がどのくらい及んでいるかという点で、たとえば魚の中だったら重金属が濃縮されているってわかるけれども海の水は今までほとんどわかっていないんです。
鉛はデータがあるんですよ。鉛は以前アンチノッキング剤としてガソリンに混ぜられていて、四塩化鉛って揮発性でガスになるんですけど、それがどんどん海の方に飛んでいって大西洋の表面で濃度が高かったんですが、四塩化鉛を止めてから減ってきているんですね。
それで人間の影響だったということがわかるんですけど、他の元素についてはなかなかわからなくて、いまやっている研究で今後わかってくるかもしれないです。

本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました!

京都大学の先生ということで、大変緊張してインタビューをしたのですが、素人の私にもたいへんわかりやすく説明をしていただきました。
海水の微量元素から地球のいろいろなことがわかってくるかもしれないと思うと、ワクワクしてきますね。
その研究に弊社の製品がお役に立っていると思うと嬉しくなります。

これからも末永くご愛顧のほどお願いいたします。

(2012年10月取材)

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